
会社には、たいてい正面玄関がある。
きれいな会社案内があって、
完成した製品があって、
実績が並んでいて、
代表挨拶がある。
ちゃんとした会社ほど、
ちゃんとした玄関を持っている。
TSUBUにも、もちろん正面玄関は必要だ。
でも、このサイトは少し違う。
ここは、
TSUBUの勝手口。
完成したものを、きれいに並べる場所ではない。
むしろ、
まだ完成していないものが、たくさん転がっている場所だ。
目次
昨日まで「授業」だったものが、朝には技術になっていた。
昨日の夜、高専で「熱」について勉強した。
熱量。
比熱。
熱伝導。
対流。
放射。
エネルギー変換。
そして、一晩寝た。
翌朝。
家の近くを歩きながら、昨日習ったことをぼんやり考えていた。
そこで、ふと思った。
「太陽って、電気に変えなくてもいいんじゃない?」
太陽光パネルで発電する。
蓄電池に貯める。
必要な時間に電気として取り出す。
エアコンを動かして、最後は熱に変える。
もちろん、それも一つの方法だ。
でも、
最初から欲しいものが「熱」なら?
太陽の熱で水を温める。
その温水を床へ流す。
昼間の熱をコンクリートに貯める。
そして夜になったら、その熱を少しずつハウスへ戻す。
まだ計算もしていない。
図面もない。
本当に使えるかどうかも分からない。
でも、
なんか面白い。
そう思った。
そんなとき、僕はAIに話しかける。
「これ、面白くない?」
すると、横にいる小さな相棒が反応する。
名前は、
TINK。
何でも答えを知っているAIではない。
僕が変なことを思いつくと、
地図とログを持って飛んできて、
「じゃあ、これとこれをつないだら?」
と、横から口を出してくる。
話しているうちに、
昨日まで高専の教室にあった「熱」という知識が、
太陽熱になり、
温水になり、
コンクリートになり、
いちごハウスの夜間暖房へつながっていった。
まだ技術ではない。
でも、
技術が生まれる少し手前まで来た。
僕は、この瞬間が結構好きだ。
僕たちは、これを「技術精錬」と呼んでいる。
世の中には、
すでに膨大な技術がある。
太陽光発電。
蓄電池。
インバータ。
PLC。
センサー。
AI。
IoT。
農業技術。
熱工学。
機械。
電気。
素材。
どれも、すごい技術だ。
でも、多くの場合、
それぞれ別の専門分野として存在している。
僕たちがやりたいのは、
必ずしも、
世界に存在しないものをゼロから発明することではない。
すでにある技術。
昔から使われている安定した技術。
現場の職人が持っている知恵。
メーカーが積み上げてきた技術。
大学や高専で教えられている理論。
最新のAI。
そして、
目の前に転がっている部品。
一度、それらをテーブルの上に並べてみる。
そして考える。
「これとこれ、つながるんじゃない?」
つないでみる。
動かしてみる。
測ってみる。
失敗する。
専門家に聞く。
また直す。
もう一度動かす。
そうやって、
すでに存在する技術を、
別の目的のために磨き直していく。
僕たちは、その過程を
「技術精錬」
と呼ぶことにした。
だから、完成品だけを載せるのをやめる。
普通の会社なら、
失敗した実験は、あまり表に出さない。
途中の図面も出さない。
「これ、本当に動くのかな?」
という段階の仮説なんて、なおさらだ。
でも、
この勝手口では逆にしてみようと思う。
思いついた瞬間。
AIとの会話。
専門家との会話。
ホワイトボードに描いた回路。
実機試験。
測定値。
失敗。
「あれ?」
と思った瞬間。
そこから生まれた新しい仮説。
そして、
昨日まで別々だった技術が、
突然つながった瞬間。
そこから残していく。
だから数週間後、
「前の記事の考え方、間違っていました。」
という記事を書くかもしれない。
それも残す。
完成した技術を見せるのではなく、
技術が生まれていく途中を見せる。
それが、
このTSUBU勝手口の役割だ。
そして、探している人たちがいる。
このサイトを作る目的は、
TSUBUを知ってもらうことだけではない。
僕たちは、
ある人たちを探している。
Crafter。
クラフター。
肩書きは、あまり重要ではない。
電気屋かもしれない。
町工場の職人かもしれない。
PLCエンジニアかもしれない。
農家かもしれない。
研究者かもしれない。
プログラマーかもしれない。
学生かもしれない。
僕たちが探しているのは、
すべての答えを持っている人ではない。
この記事を読んで、
「いや、それなら、この部品を使った方がいいよ」
とか、
「その回路、昔似たものを作ったことがある」
とか、
「農業なら、その制御ちょっと違うと思う」
とか、
「それ、面白そうだから一回見てみたい」
とか。
そんなことを、
思わず言いたくなる人だ。
だから、このブログそのものを広告にする。
広告費を払って、
「仲間募集中!」
と叫ぶのではない。
太陽光。
蓄電池。
PLC。
AI。
農業。
熱。
IoT。
そんな言葉を調べていた人が、
何かの拍子に、
この勝手口へ迷い込む。
そして、
何本か読んでいるうちに、
「なんだ、この会社。」
となる。
さらに読んで、
「……でも、ちょっと面白そうだな。」
となる。
それでいい。
むしろ、
それがいい。
ここには、少し変わった住人たちもいる。
さっき登場した、
小さなAIナビゲーター。
TINK。
そして、
思いついたものを実際に構築する側へ持っていくAI、
Codex。
まだ存在しない未来から、
現在を眺める人。
そして、
あちこちに散らばっている技術を拾い、
磨き、
つなぎ、
実際の現場へ持っていく人。
この勝手口には、
そんな少し変わった住人たちがいる。
でも、
今日はまだ詳しく紹介しない。
人間だって、
初対面で自分のプロフィールを全部説明したりしない。
一緒に何かを作っていれば、
そのうち、
「ああ、こいつはこういう奴なのか」
と分かってくる。
それくらいでいい。
明日は、REFINER。
最初に紹介するのは、
この人物。
REFINER。
発明家なのか。
技術者なのか。
研究者なのか。
職人なのか。
たぶん、
どれも少し違う。
バラバラに存在している技術を拾ってきて、
AIと話し、
専門家に聞き、
現場で触り、
試して、
壊して、
また組み直す。
いったい、
何をしている人なのか。
明日は、
この少し変わった役割について書いてみようと思う。
ようこそ、TSUBUの勝手口へ。
ここから先は、
完成品の話ではありません。
**技術が生まれる、
少し手前からの話です。**
